私が起業をした理由
201210.12

はじめに

私の Gmail のアカウントには「初心」というタグを付けている何通かの E-mail があります。 どうやら私の性質は「特定の誰かに何か伝えたい」と思った時に、最も言いたい事が整理されて表現されるようなのです。後で読み返した時に「とても大事な事で、忘れてはいけないのではないか?」と感じたものにこのタグを付けています。

自分が何か迷ったり、落ち込んだりした時にこれらのメールを読む事で自分を見つめ直しています。

友人に宛てたメール

今日はその中で「私が起業をした理由」に言及しているものを記しておきたいと思います。当時キャリアに関して悩んでいた友人に宛てたものです。

かなり長い E-mail でもあったので、ポイントだけ抜き出して、修正を加えています。この友人の助けになったかどうかは怖くて聞いていませんけれども。

以下、とっても長いしなんかこっ恥ずかしい話でもあるんで 覚悟して読んで下さい。引いてしまったら心にしまっておいてください。 実りがあるかは知りません。

ただ、僕が真剣に考えた結果です。

僕の場合(正解ではない、あくまで僕の場合) 「幸せについて本気出して考えてみた」時に 変化が始まりました。 僕の思っている幸せは、実は僕自身にはありませんでした。

「多分概ね健康で楽しく生活できていて、やりたいようにしか生きていない自分像」

は動かなかったから。

「○○ さんのようになりたい」

というロールモデルも持てませんでした。

そうして僕の幸せは 「僕だけではなく、直近の大事に思っている人たちが不幸ではないこと」です。 ここで言う不幸は「本人が不幸だと強く意識して脅かされている状態」です。

日本という国自体のシステムがどんどん信用できないものに なってきていると感じています。年金とか、税金とか、福祉とか、いろいろ。

そういったなかで、10 年後、20 年後に僕の幸せは果たして成立しているでしょうか。 わからないですよね。でも成立していない可能性の方が高いような気がしています。 僕一人だけを考えれば、日本がなにか危うい状態になったら 外国へ逃げれば良いだけです。仕事なんてどこでもできるし 外国語だって苦手だけど絵を書いてでも身振り手振りでも やっていけます。

ただ、そういうときに僕の両親や、いたとすれば僕の新しい家族、 ともだち、大切な仕事の仲間たち皆がそういう行動は取れないでしょう。 結果的に僕は一緒に留まる決断をするのでしょう。

僕の留まる理由は単なる感情的な行動ですが その時に彼らを不幸にしない、そして自分も一緒に不幸にならないだけの 能力(金でも権力でも)を持っておきたいと今強く願っています。 僕の想像する不幸な未来が来たときに

「俺と俺の仲間たちは勝手によろしく生活するから口出しするな。」

と、国だかどこかに向かって強気で言えるだけの形が欲しいのです。

これは単純に言ったら「村を作りたい」というような意味で 捉えてくれてもいいです。父はそう受け止めたようです。 例えば華僑のような「形を持たないコミュニティやネットワーク」 かもしれないし、豊田市のトヨタのような 自治体の中心的な組織ということかもしれません。

もしも国を救いたいのであれば政治家になるのでしょう。 僕はそんなに崇高な理想は持たない。すぐ傍の人が 不幸でないことだけが僕の至上命題だから、大きすぎて やりにくい目標は逆に持てない。

こんな僕のささやかな願いが発端の、大それた目標を、 できれば向こう十年くらいの間に達成するには 今僕には何が出来るだろうか?

そのときの答え:

何がしかの組織を持って事業活動を営むべき

本当は企業でなくても良いのだけれど、現代では 一番それが近道ではないか?

そして佐藤正志がそれを実現するのであれば 分野は IT 以外には考えられない。

そう考えた。

目標を達成するためには普通に生きていたら駄目だと思った。 だから今までずっとやってきた自由奔放路線を捨てた。 目標と期日を決めて無理とか駄目とか言う前に実行して成果を出す、 昔は毛嫌いしていたアクセク働く路線になった。

高校からの僕の友人は 「なんだか別の人と話しているみたいだ」 と形容していました。実際そうだと思います。 あの頃あった無目的感や自由人的発想が薄れてしまったから。

そして今の僕がいます。

おしまいに

2011 年 2 月 4 日のメールです。これを書いてから 1 年 8 ヶ月が過ぎて、私は起業してから 5 ヶ月目になりました。凄いソリューションを世の中に送り出した訳でもない状態ですが、これまでの活動の中でビジネスの繋がりも徐々にできていて、確実に進んでいると実感しています。関係しているものをまとめあげることができれば素晴らしい成果が出るだろうと想い、行動しています。

初心を忘れないように、今改めてここに記そうと思いました。